映画TV関連分野

映像の科学技術分野への応用

トラッキングマウント

フィルムモーションアナライザー160F

ナックは映画業界においては「技術による差別化」の実績を積み上げてきました。万国博覧会など博展映像への挑戦によって、念願だった自社カメラの設計・製造も果たしました。しかし映像の可能性を追求したいという熱意は更なる応用範囲の拡大を志向しました。

第二次世界大戦末期から、1960年代にかけて、アメリカでは原爆の開発やロケットの開発など国家的研究プロジェクトが実施され、観察手段としての映画技術が大いに注目されていました。映画技術を科学・技術分野へ応用することの可能性に気づいていたナックはこれらの実用例をいち早く日本に紹介しました。

最初に挑戦したのは、ロケットの打ち上げ時、高速で上昇していくロケットを追尾し映像を捉え続ける「トラッキングマウント」でした。トラッキングマウントとは、飛行中のロケットの位置を時々刻々の三次元座標値として認識するための動体測量装置です。それに高速度カメラを搭載することにより、三次元座標値のみならず、事故時のロケットの急変(爆発過程など)を詳細に観察できるようになります。ナックは東京大学宇宙航空研究所や宇宙開発事業団種子島宇宙センターなどにシステムを提供しました。

一方、高速度撮影されたフィルムを映写し、被写体の速度や加速度を算出するための特殊な映写機(フィルムモーションアナライザー)とその解析ソフトウェアの自社生産を開始します。
フィルムモーションアナライザーとは、コマ送り映写することができるスクリーンと映写機が合体した機材です。映写像にマーキングしていくことができ、各コマ間の被写体の移動距離、移動方向などを時系列的にデータ化します。ナックはこのフィルムアナライザーによって製造環境を整えていきます。