映画TV関連分野

計測用自社カメラの開発

E-10を顕微鏡に接続して撮影

高速回転体の安全実験で使用

映画分野におけるカメラメンテナンス、博展用高画質カメラの開発によってカメラ設計のノウハウは蓄積されました。またフィルムモーションアナライザーの生産により製造環境の整備を果たしたナックは、自社製高速度カメラの設計製造に挑戦しました。16mmフィルムを利用する高速度カメラE-10です。

一般的なフィルムカメラは一秒間に24コマの撮影ですが、これは一コマあたりの時間が1/24秒ということです。1/24秒の時間分解能を有すると言いかえることができます。被写体の動きが非常に速い場合、1/24秒間という短い時間でもどんどん動いてしまいます。フィルムカメラの歴史においては早い時期から、いかにしてフィルムを速く送るかが大きな技術的チャレンジとされてきました。

ナックはロータリープリズム方式という方式を選択しました。ロータリープリズム方式とは、フィルムを停止することなくフィルムの動きに連動して四角柱のプリズムを回転させます。フィルムに対してプリズムが正対したときのみレンズからの光がフィルム上に到達して露光される仕組みです。

この仕組みを採用することにより、一秒間あたりの撮影コマ数(これを「撮影コマ速度」略して「コマ速度」といいます)が飛躍的に向上しました。E-10では一秒あたりの撮影コマ数(コマ速度)は一万コマに達しました。

フィルムを止める必要がないとは言え、高速でフィルムを送り、それに連動して高速でプリズムを回転させることは容易ではありません。400ftのフィルムがわずか数秒で消費されます。最も速い部分の動きは音速に近いとも言われました。