ハードルが高ければ、高いほど|匠の技01

「ハードルが高ければ、高いほど」

一般的な映像とナックのような計測領域では、それぞれに求められるスペックが異なる。だから一概にナックの方が大変だとか、優れているというのは間違いだ。ただ一般的な写真用レンズなどで“味”として表される部分が計測用レンズには存在せず、よりシビアに<正確に記録する>という高い画質要求が課せられるのは事実だろう。

 

「レンズは半球に近くなればなるほど際の部分が削りにくくなります。風景写真であれば主題はほぼ中心ですから『端の方はある程度の許容範囲で』となるかもしれませんが、計測の場合はその端っこに決定的な情報があるかもしれない。だから中心から端までできる限り均一に磨き、情報を取れるようにしなくてはいけません。それがEMR-9のように直径3ミリの世界で要求されるのです」と谷田は言う。

 

一方でその高いハードルを超えることこそ技術者の誇りなのだろうし、それがナックの製品をこれまでも進化させてきた。EMR-1が今ではあまりに大きく、古く思えるように、10年後には現在、最新鋭のEMR-9が同じように映るのだろう。もしかしたらそれに10年も要しないかもしれない。

 

ベテランの鈴木は「設計から上がってきた図面を見て、ハードルが高ければ高いほど燃えるんですよ」と言った後、笑いながらこんな風に続ける「ただ設計の連中は3ミリ径のレンズをCAD画面で何倍にも拡大して外形をデザインしている。それを見て時々『拡大しすぎじゃないか』って思うことはありますけどね」と。

鈴木文夫 (すずきふみお)
製造部部品工作グループ
1992年6月入社 機械科

 

谷田 光 (たにだあきら)
製造部部品工作グループ
2005年4月入社 機械工学部 生産機械工学科