強磁場環境に対応したアイマークレコーダー|ユーザーズボイス03

今、最先端脳科学研究の現場で

脳情報通信融合研究センター

糸井 誠司・藤巻 則夫 

強磁場環境に対応した
アイマークレコーダー

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非常に厳格なルールに則って実験が行われていることが分かりました。ところでこちらのMRIにはナックのアイマークレコーダーが搭載されています。これは具体的にはどのような研究で使用されているのでしょうか。

藤巻

たとえば私の文章読みのMRI実験では、読み速度と脳活動の関係を計測しましたが、その際に目がどのように動いたかを同時に計測しました。一般に脳活動計測において、計測される脳活動とそれが反映する脳内処理の関係を検討するためには、被験者の行動にかかわるデータも重要です。視覚情報を与える実験で脳の活動と目の動きを総合的に見ていくことは大切なのです。

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MRIを用いた研究で視線計測を行う際、その装置にはどのような性能が要求されますか。

糸井

一番はもちろん計測精度です。この計測精度を支えMRIという強磁場環境に対応できる企業の技術力も大きいですね。納入仕様に強磁場環境であることを明記したのですが、それに対して安全面を考慮してカメラやレンズは出来るだけ離した場所に置くとか、カメラから発生するノイズがMRIの計測データに影響を与えるのでシールドを施すなど、この環境をしっかりと認識し対応しないと有用な視線計測装置(アイマークレコーダー)は完成しません。この時の調達では納入業者シーメンスが我々の条件を満たす装置を選定し、それはナック社製のものでした。余談ですがMRIの磁石に何かがくっついてしまったら、到底一人の力では剥がすことが出来ないほどの磁力がいつも存在しています。
ナックさんの方法は、実際見てもらえれば分かりますが、特殊な鏡と高精度の望遠レンズを数種組み合わせ、離れた場所にありながら被験者の目の動きを捉えられるシステムになっており、これが強磁場環境下で我々が要求する視線計測装置の性能を満たしました。

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その他、実験で利用するに当たって特に重要な点は何ですか?

糸井

CiNetの神戸ブランチでもアイマークレコーダーを使っていましたが、その際に眼球内だけでなく、周囲(まぶたなど)の情報まで取れてしまい、それがデータのノイズとなって計測に苦労するケースがあったことから、仕様において周囲の情報をあらかじめフィルタリングによって落とすよう求め、当該製品は改良されて納品されました。それと細かなセッティングの容易さですね。神戸では計測前の細かなセッティングがなかなかうまく決まらず、準備にかなり時間を要するということもあったのですが、このMRIに関しては鏡の角度を簡単に動かせるなどセッティングに関してはかなり楽で、時間の短縮にもなっています。

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さらに改善すべき点、ご要望についてはいかがでしょう?

糸井

ソフトウェアですね。たとえば視線のキャリブレーションですが、他社製のソフトでは黒目を簡単にクリックするだけで、ほぼその動きを追従できるものもありますが、ナックさんの製品の場合その追従がやや甘い面がある。その精度をもう少し高めて欲しいと思います。それと検出分解能も240ヘルツというのは、以前に比べれば速いですが、最近では1キロヘルツという製品も出てきていますから、さらなる改善を期待しています。