アンジェニューの歴史 1960-1962

1960年
35mmアンジェニューズーム第一号35 - 140mm f/3.5
1959年、プロトタイプがマルク・アレグレ監督、ロジェ・フェルー撮影の「Les Affreux(日本未公開)」で使用された。
論文「タレス・アンジェニュー:映画用35mmズームの旗手としての42年」(SPIE誌5249, 2004年2月18日号)で、ジャック・デビーズはこう書いている。「アンジェニューの35mm第一号は1960年に誕生し、35mmシネ用機械的補正4倍ズームレンズの第一号。その名は35 -140 f/3.5であった。光学設計を見るとある意味で革命的である。まず、フォーカシング群は短焦点側の視野収差を補正するために、逆向きに貼り合わせた2枚構成。変倍系と補正系の各エレメントは、短焦点視野収差補正用と長焦点側の球面、色収差補正用の単レンズ1枚と2枚貼合わせの3枚構成。後群は残留非点収差補正とカメラのバックフォーカス距離に合わせるための分厚いレンズで構成された。このズームがコンピューターでなく手計算と対数表だけで設計されたことは特筆に値する。」
1961年
35 - 140ズームが現れるとすぐ、ジャン・ディコ、ロジェ・フェルー、モーリス・フェルー(上、右)ほかが、前玉「アナモ」エレメント開発に着手。

16mm用12 - 120mm T/2.2 発売
アンジェニューは1958~60年にかけて、16mm用に12 -120mm f/2.2 を開発設計。量産は61年に開始。12 - 120mm 16mm用10倍ズームは、1961年に出荷開始。16mmフォーマットはアマチュア用からテレビ、ニュース、ドキュメント媒体用へと進化した。アマチュアもより軽量、小型、安価な8mmとスーパー8フォーマットに変わった。 16mm用ズームは、世界中のTV局でニュースとドキュメンタリーに使用された。次の10年間、50,000本の12 - 120mmレンズがサン・テアン工場の組立ラインから出荷、全時代を通じて16mmズームレンズのベストセラーとなった。1968年までにアンジェニューは社員数800人となった。

次の10年間に、アンジェニューは少なくとも19種類の異なる焦点距離の16mmズームレンズを設計・製造。

1963: 15 - 150mm f/1.9-2.8
1964: 12 - 240mm f3.5-4.8
1965: 9.5 - 95mm f/2.2
1966: 12.5 - 75mm f/2.2
1967: 10 - 120mm f/1.8
1967: 20 - 240mm f2.2
1971: 9.5 - 57mm f/1.6-2.2
1977: 10 - 150mm f/2-2.8

1962年
35mmシネ用25 - 250mm f/3.2

25 - 250mm f/3.2は、35mmシネ用の最初の機械補正式10倍ズーム。これが技術的突破口となり、長期に渡って映画のスタイルに影響を与えた。劇場映画制作とCMで23年間以上使用された。25 - 250HPが1985年に登場したが、オリジナルモデルはその後も長く使い続けられ現在でも活躍している。(クックの最初の25 - 250 f/2.8は16年後まで登場せず。スーパー・シネバロタールは1978年発売)