匠の技 04 光学設計[先端研究開発と共に]

世界の放送業界を驚かせた1/1000秒をとらえる技術

「スター・ウォーズの衝撃」

1978年、一本のアメリカ映画が日本全国を巻き込む空前の大ヒットを遂げる。<スター・ウォーズ>−今なお新エピソードが制作され続け、公開のたびに世界中のファンが熱狂する人気シリーズの第1作である。映画業界ではスター・ウォーズ以前と以後に映画史を分け、「この時、映画が変わった」と評価する声すらあるほど。何より衝撃的だったのが最新のVFX(視覚効果)技術を駆使した画づくり。スター・ウォーズ以降、ハリウッド映画の多くがVFXで見せる作品が主流となり、それはCG全盛の今に続いている大きな流れだ。

現在、横浜工場の技術部に所属し、主に特注製品の光学設計を担当する水野重智もスター・ウォーズに衝撃を受けた一人。当時、中学生だった水野は「映画ってこんなすごいことができるのか」とスクリーンを見つめていた。

家にある機械類をばらしては親から怒られる典型的な理系少年だった水野は、スター・ウォーズの衝撃を受け、16mmシネマカメラの映像専門書などを読み漁り映像技術への憧れを強くしていく。高校は理系に進み、大学は工学部へ。「将来は映像技術のハードに関わる仕事をしたい」と考え、専攻は光学工学を選んだ。そんな水野、実は「すでに高校時代にはナックの存在は知っていた」という。

「映像技術の専門誌にナックの広告が出ていたんです。たしかフィルム・アナライザー*1かな。それを見て『あー、こういう会社が日本にあるんだ』と思ったことは今でも覚えています」

大学に入って仲間と映画サークルを立ち上げた一方、水野は撮影手法等を研究するゼミに所属。大豆の微妙な発育経過や、半田ごて先端の空気の揺らぎなど、「人間の目では見えない変化を捉える」ためホログラフィーなどを使い、物体の経時変化を撮影する光学技術研究の道へと進む。

「大豆を固定するために針を打ったら豆自体が死んでしまったり、今思うと『何やっているんだ』という感じですけれど」と学生時代を振り返る。

学部4年間を終えた後、修士課程へと進み研究を続けた水野は、ここでもナックと関わりを持つ。

「ナックのHSV-200というハイスピードビデオは研究で使っていましたし、それ以外にもナックの製品は研究室にゴロゴロありました。当時発売前の最新モデルを研究室に持ち込み、デモを行ってくれましたが、それも大学院時代に見ていました」

修士過程修了後、水野曰く「なんとなく流れでナックに入った」と言うが、おそらく同期の中でももっとも早くナックという会社を知り、ユーザーとしてもっとも高い製品知識を持った新人だった。

 

*1 撮影したフィルムを緩急、正逆自在に送ることで現象の詳細な観察を行うことができる装置。フィルムから現象を定性的・定量的に解析することができる。

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