ウィンフリード・シェルレ博士 インタビュー

映画業界の技法や技術を特集している国際的な情報誌「FILM AND DIGITAL TIMES」2014年2月号に掲載された記者ジョン・ファウワーによるカール ツァイス社へのインタビューです。

 

ウィンフリード・シェルレ博士 インタビュー

博士はカールツァイス社副社長兼カメラレンズ部門のゼネラルマネージャー。このインタビューはニューヨークPhotoPlus Expoでの会見と、その後メールを介して行われた。

ウィンフリード・シェルレ博士<br>
(写真)カールツァイス・イエナの初期型テッサー。ジョージ・イーストマンハウス所蔵

ジョン・ファウアー(聞き手・以下JF):あなたが光学の世界に入ったきっかけを教えて下さい

ウィンフリード・シェルレ博士(以下WS):私は以前から、眼に見えなかったものを見、手の届かなかった次元のものに触れることに大きな関心を抱いてきました。これが私が電子顕微鏡物理学を専攻した理由のひとつだと思います。私はチュービンゲン大学在学中に、電子顕微鏡のための電磁レンズの設計方法を開発しました。この時、私の設計方法に興味を示したのがカールツァイス社で、その後私は同社に入社しこの技術を実用化しようと決心しました。

JF:ツァイスは大学卒業後の初めての職場ですか?

WS:カールツァイスは私にとって大学卒業後初めての、そして唯一の職場です。恐らくこれは今後も変わることはないでしょう。私がこの会社に非常に深く関わってきた最も大きな理由は、ツァイスは財団企業であるが故に長期的な計画と戦略を立てられることが挙げられます。弊社が得る利益は、自社内で再投資が可能です。これにより弊社は責任を持って行動し、継続的に改革改善に取り組み、自社内のすべての決定を顧客中心的に行うことができるのです。弊社で開発された製品が、多くのノーベル賞受賞者の研究をサポートしていることに誇りを感じています。

JF:イエナはいかにして、光学分野の中心地と言っても過言ではないレンズの一大生産拠点になったのでしょうか?

WS:1846年に企業家・創業者カール・ツァイスがイエナに工房を開き、イエナ大学の光学機器の修理をし、顕微鏡を作りました。当時はレンズの安定的な製造に役立つ数式や方法は存在していませんでしたので、顕微鏡のレンズを組み立てて検査し、不合格ならまた作り直すといった具合に毎回試行錯誤して作っていたのです。ツァイス社の顕微鏡は優秀ではありましたが、明確に定められた製造手順というものはありませんでした。
事業が拡大するにつれ、ツァイスは勘による製造工程とその結果の歩留まりの悪さに不満を持つようになりました。そこで品質向上のため、ツァイスはイエナ大学の優れた科学者であったエルンスト・アッベの協力を仰ぐことにしました。二人の研究は「アッベ正弦条件」、つまり光軸上でも軸外でもシャープな像を得られるレンズ公式の一つの発見に結びつきました。これにより、専門家達は要求される性能に基づいて製造前にレンズの形状を決めることができるようになり、レンズの製造方法が飛躍的に改善されました。
19世紀にイエナ大学に偶然集まった研究者達によって光学の拠点としてのイエナの国際的評価は築きあげられてきました。ツァイスの精密光学工房とショットのガラス工房は、彼らの母校から派生して生まれたのです。これはちょうど現在においてもドイツの科学・教育・ビジネス界がドイツ国家と密接な関わりを持っていることと似ています。
カールツァイス設立初期における3人目の立役者、オットー・ショットは1875年にイエナ大学で博士号を取得したのち、1884年にアッベとツァイスの薦めにより「ガラス技術研究所」を設立します。これにより初めて光学用の純粋なガラス素材を作ることに成功し、顕微鏡や光学機器用の特殊レンズを作ることが出来るようになりました。こうしてイエナの街と大学とが「光学の聖地」となったのです。それから160年以上経てツァイスのグループ各社は世界最大の光学メーカーに成長し、今日に至るまでその革新力によって世界の技術的・科学的進歩に大いに貢献しています。

JF:アッベの光学式は、実際にはどういった意味があるのでしょうか?

WS:エルンスト・アッベは、光と素材の相互作用の法則を理解していました。特定波長(色)の光線は、例えばガラス表面に当たると、そのガラス素材の屈折率と分散によって光線の方向が変わります。こうした特性を法則として見いだし、数式の使用によって信頼性の高い性能予想が可能になったことは、アッベの光学業界に対する大きな貢献と成果であると言えます。現在弊社では、約150種のガラス素材を使い分けて、レンズの性能を達成しています。

JF:最初のZEISSシネレンズが生まれたのはいつ頃のことでしょうか?

WS:ツァイスレンズは当初、スチル写真用として開発されました。しかし今日と同様、当時のツァイスは可能な限り高性能なレンズを提供していたため、シネマトグラファー達はそのスチル用レンズで映画を撮影するようになったのです。

ツァイスにおける最初のハイエンド・カメラレンズの形式のひとつはプラナー(Planar)で、ルミエール兄弟がシネマトグラフ映画カメラを持って初めて撮影を行ったのと同じ1896年に発表されました。当時はまだコーティング技術が存在しなかったため、反射による迷光を減らすために少ない枚数構成でレンズを設計する必要がありました。1902年になるとツァイス社は、その後に最も有名なカメラレンズとなる、たった4枚構成のテッサー(Tessar)の特許を取ります(「Tessares」はギリシャ語で4の意味)。色収差と反射を効果的に低減させるために、貼り合わせレンズ1枚を含む3枚構成(合計4枚)で、最初のモデルはf/6.3、数年後に映画撮影と映写用にf/4.5のモデルが発表されました。ツァイスのテッサーは明るく極めてシャープで小型カメラとの相性が良く、言うなれば機動力のある写真撮影が可能になりました。テッサーはその後1億5000万本以上製造されました。ツァイスが反射防止コーティングを発明した後はさらに明るいレンズが設計可能となり、プラナー型も性能が格段に向上しました。

ZEISS Touitレンズシリーズ (APS-C判:ソニーE、およびフジXマウント)

ZEISS Otusレンズ (35mmフルサイズ判:キヤノンEF、およびニコンFマウント)

ZEISS フルサイズ一眼レフ用レンズシリーズ(EFおよびFマウント)

JF:スチルレンズを映画に使っていたのですか、歴史は繰り返すということですね。ツァイス史では次にどんな事が起きたのでしょうか?

WS:ツァイスの歴史はドイツの歴史と非常に似た流れを辿っています。第二次大戦後、ツァイスはカールツァイス・イエナ社(東独)とカールツァイス西ドイツ社とに分割されました。分割後44年間に渡ってツァイスは2社存在し、2つの別の街でほぼ同じ製品を作っていたのです。 西独ではツァイスは1946年にオーバーコッへン(ドイツ南西部)で、Opton Optische Werke Oberkochen GmbHという社名で事業を再開、翌47年にはZeiss-Optonに社名変更し、その後まもなくCarl Zeissに改名しました。市場の混乱を避けるために西独ツァイス製品は東側諸国での販売時には「Opton」のブランド名を使い、他方東独ツァイス製品は西側では「Jenoptik」のブランドで製品を販売しました。
ドイツ再統一に続き、 当時の東ドイツでは数少ない世界レベルの競争力を持った会社であったVEBツァイス・イエナ はCarl Zeiss Jena GmbHとなり、その後1990年にJenoptik Carl Zeiss Jena GmbHとなりました。1991年にはこの会社は2つに分かれ、Carl Zeiss AG (オーバーコッへン)が同社の顕微鏡とその他精密機器部門を吸収し(戦前のCarl Zeiss企業を実質的に再統合)、自社の顕微鏡とプラネタリウム部門をイエナに戻しました。創業者の名前と区別するため、弊社では社名としてのZEISSの綴りをすべて大文字にしています。

JF:SCHOTT社はZEISS社の一部門なのでしょうか?

WS:いいえ。アッベは晩年、将来に渡り会社を更に安定して揺るぎない存在にしたいと考えていました。彼は、会社が個人社主の手に渡り、個人利益のために会社から資金が引き出される事態を危惧していたのです。それが「Carl Zeiss Stiftung(カールツァイス財団)」を設立した理由です。財団組織では利益を新製品開発のために再投資できる一方で、個人的な理由で会社から資金を引き出すことは、誰にもできないのです。
アッベはカールツァイス社とショット社を設立し、両社をカールツァイス財団の傘下に置きました。今日カールツァイス社(Carl Zeiss AG)とショット社(SCHOTT AG)は財団所有の別会社であり、各社が自社株式を発行していますが両社の全株式は財団が所有しており、売却することはできません。
光学ガラスは光学機器に使用されるため、設立当初は両社の関係は非常に濃密でしたが現在では2社は全く別々の会社として事業を展開しています。ツァイスで製造されるレンズは現在では150種類ものガラス素材が用いられています。一方でショット社は今日では業務用及び家庭用にガラス製品のみならずセラミック製品を製造・販売しています。

JF:その「財団」という概念をもう少し説明してください。

WS:カールツァイス財団は、Carl Zeiss AGとSCHOTT AGを所有しています。財団の第一目的は、傘下2社の責任ある管理と、財務的な安全保障です。両社にとっては財団が唯一の株主です。財団は、両社のそれぞれの事業活動を遂行し、社会的責任を果たし、光学・精密工業業界の総体的な利益を図り、さらに地元の非営利団体を支援し、その目的と責任を達成しています。そして財団では、傘下2社とその支社の事業分野における研究と教育を促進しています。

JF:今日におけるイエナとオーバーコッヘンのツァイス2社の違いは何でしょうか?

WS:東西カールツァイス再統一後、カールツァイス社の本社はオーバーコッヘンに置かれました。イエナはドイツ国内で二番目に大きな拠点で、多くの重要な製造部門を擁しています。カメラレンズについて申し上げると、イエナはガラスエレメントや主要機構部品などの精密部品の予備加工をしています。最終組立と品質管理は、オーバーコッへンで行われています。

JF:ハイエンドの映画用レンズについて伺いたいと思います。

WS:これらのレンズの要求条件は、非常に厳しいものです。そこで映画用レンズはすべて、製造工程全体と品質基準を最大限に管理できるオーバーコッへンの工場で製造しています。ZE、ZFやミラーレスカメラ用レンズなどのスチルカメラ用レンズは、日本の複数の製造提携先で弊社の直接監督のもとで製造しています。
弊社は真のハイエンド製品は自社内で製造しています。これにはマスタープライム、マスターアナモフィック、ウルトラプライム、コンパクトプライム、そして新型の映画用ズームなどが含まれます。

JF:御社では、まだARRI/ZEISSウルトラプライムを作っているのでしょうか?

WS:もちろんです。これまでにウルトラプライムは約2万本製造しました。昨年度は、ウルトラプライムを3,000本出荷しました。同レンズは今年で発売開始後15年経っていますが、ようやく業界標準のレンズとなってきた感がありますね。
ハイエンド中のハイエンドレンズとしては、マスタープライム・シリーズを作り続けています。前回のシネレンズ・デイ(訳注・Cine Lens Day : ツァイス社カメラレンズ部門が隔年で開催する映画レンズに関する技術公開とシンポジウム)では製造番号5000番のマスタープライムを出荷しました。この種のハイエンド製品としては記録的な製造本数であり、弊社としても大いに誇りに思う数字です。

ARRI/ZEISSマスタープライムT1.3セット

ARRI/ZEISSウルトラプライムT1.9レンズセット(8RはT2.8、10mmはT2.1

ARRI/ZEISSマスター・アナモフィックT1.9セット

JF:ZEISS CP.2コンパクトプライムについてはいかがでしょうか?

WS:コンパクトプライムの成功は、最新の動画対応一眼レフカメラと組み合わせるプロ用シネレンズの需要を認識した2010年に始まりました。弊社はデジタル一眼レフ用スチルレンズ(ZE、ZF)をベースに専用シネ鏡胴を用意し、より厳しい製造許容誤差を設定し、一部のHDビデオカメラと共用できるように新しく円形絞りを採用し、また交換式マウントなどの機能を追加しました。交換式マウントは、様々なカメラシステムで同じレンズ共用できるので非常に重要な特長です。コンパクトプライムは35mm判フルサイズのデジタル一眼レフのイメージサークルをカバーし、ユーザーが将来カメラボディやシステムを変えた場合にも対応が可能、つまりこのレンズに対する投資は将来的にも十分有効といえるのです。現在コンパクトプライムは14種で1セットになり(訳注:本稿出稿時は14本、現在は15本)、コーポレートビデオからから高予算の劇場映画にいたるまで、様々な分野でその高性能ぶりが実証されています。
一般的には静止画のディテールのほうが長時間観察され分析されるため、スチル用レンズの方がシネマ用レンズよりも高い解像度を要求されます。一方で映画は瞬間の連続であるため、画面のディテールは常に変わり続けます。このため総じてスチル用レンズの方が映画用レンズよりも画質の点でより高性能を要求されるのです。

JF:このズームの当初の企画意図は何でしょうか?

WS:当初の目標はコンパクトプライムのように、スチル一眼レフ用ズームレンズをシネマ用途に合せるというものでした。しかしほどなくして我々はコンパクトプライムとは違って、スチル一眼レンズをベースにしたズームではユーザーのニーズを絶対に満たせないということに気付きました。スチル用ズームはバリフォーカル設計とそれに伴う焦点移動、ズームシフト、開放値変動を伴います。しかしこれらの特性はシネマ用としては受け入れられません。必要だったのは、映画制作現場のニーズに合い、且つコンパクトプライムの利点を提供できる、全く新しい光学・機構的設計だったのです。

JF:では、コンパクト・プライムの企画意図は何でしょうか?

WS:映像作家の一部が一眼レフ用レンズをビデオカメラに取り付けて、CMやYouTube用映像を録っていることを知りました。その仕上がりの映像は悪くはなかったのですが、そのワークフローは非効率的でした。
こうした現場にきちんとしたシネスタイル鏡筒に入ったレンズを供給できれば、すでに広く普及しているシネ用アクセサリーを活用でき、ずっと便利になるだろう、そして彼らの仕事もやり易くなると同時にクオリティーも向上し、なおかつ良質な一眼レフ用レンズの利点と画質が得られるであろうと考えたのです。
そこで我々は、ZFレンズ(スチル用一眼レフレンズ)の光学系をもとに開発を進めました。円形絞り実現した絞りモジュールを追加し、マウントを交換式にして、製造許容誤差を厳しくして、どんなリグでも使えるシネスタイルのインターフェースを持ったハウジングを開発したのです。我々が目標としたのは、お客様がお支払いになる価格に対して、最高の価値を持つレンズ群を供給することだったのです。

JF:こうした取り組みを実際に行ったのはツァイスが業界初だと思いますが、大成功でしたね。

WS:4年前に発売されたコンパクトプライムは瞬く間に新しいマーケットを形成しました。発売当初は、キヤノンEFマウントがこの新しいマーケットを拡大させました。しかし現在ではご購入者の大半は、PLマウント付きをお求めになっています。将来は、また別のマウントがシェアを支配するかも知れません。しかし弊社のコンパクトプライムのお客様は、都度マウントを交換するだけでご自分のレンズを新しいシステムに合わせることが出来ます。これが圧倒的な支持を頂いている弊社のシネレンズ・プログラムなのです。

35mm判フルサイズ対応のCP.2コンパクトプライム CZ.2コンパクトズーム (PL、EF、F、E、MFTマウント

JF:業界がひとつの標準マウントに統一されたら良いのではないでしょうか?

WS:私は、ユーザーに多大な利点があるためにオープンシステムを好んでいます。個人的にはユーザーのためには何でも簡単に(統一)したいのですが、カメラメーカーから受けるフィードバックを聞いている限りは、その実現にはまだ当分時間がかかることでしょう。

JF:御社が推奨するマウントは何でしょうか?

WS:それは難しい質問ですね。こうしたことはユーザー抜きでは決められません。まずデニー・クレアモントやオットー・ニーメンスなど業界のエキスパートを招いて、選考過程に加わってもらうでしょうね。我々は将来に向けて、電子的データ通信機能を備えたオープン・アーキテクチャーの、機械的にも非常に安定したマウントを必要としていることは確かです。

JF:さて、新型のアナモフィックレンズのアイデアはどこから来たのでしょうか?

WS:実現に至る決定過程は非常に複雑でした。まず原型となるレンズを決めて研究を始めました。原型は50mm T1.4と設定し、その中で何が実現可能かを考えました。
そして我々は既に販売されているレンズを調べ、それらがまだ解決していない分野の問題について研究しました。難しかったのは、単に他社と同程度のものを作ることにならないように、他に存在しないものを造り出すこと、業界の新たな基準となるものを作り出すこと、でした。 次に、過去に実現していない画質の、既存の性能限界を超えるアナモフィックレンズを作ることを企画しました。そして原型となるレンズを市場に持ち込み、レンタル会社、撮影監督やユーザーとの討論を行って多くのことを学びました。
基本コンセプトの評価のため、実際にテスト撮影も行いました。そこでは例えばT1.4は不要で、価格も低く抑えられ、撮影助手からはフォーカス送りが楽だという評価を受け、T1.9が推奨されました。また他のユーザーからは「軽く小型にして、もっと安くして欲しい。ウルトラプライムとマスタープライムの中間のサイズが望ましい」といった要望も寄せられました。
こうしたこの討論から、我々は7本セットの(アナモフィック)レンズを作ることを決めました。今後はその7本から、さらにレンジを拡張する可能性もあります。
他のハイエンド・シネマ用レンズの場合と同様、弊社はARRI社と密接に連携しています。これに合わせてARRI社では上記の2倍アナモフィック・フォーマットに適合する4:3比率のデジタルセンサーを開発したのです。ARRI/ZEISSマスター・アナモフィックレンズとARRI Alexa Studioとの組み合わせによって、映画制作者たちが従来のアナモフィックレンズでは実現不可能であった高画質を達成できるようになりました。

JF:現時点は、ARRI Alexaは2倍アナモフィックの本来の利点を活用できる、唯一のデジタルカメラです。他社も将来4:3センサーに移行すると思われますか?

WS:この成功はARRIの独自のものとなると思っています。しかしSonyやCanon、Redなども4:3センサーに対応してくるかも知れませんし、またそれが自然な潮流ともいえます。これらのメーカーは業界とそのトレンドを熟知していますし、このフォーマット(4:3)のシステムを出してきたとしても、驚くことではないでしょう。

JF:なぜ最近アナモフィックへの関心が高まっているのでしょうか?

WS:理由は二つ考えられます。一つめは、アナモフィックが観客に特別な観賞体験を与えることです。映画館で夜を過ごすなら没入的な体験を可能にするワイドで広視野のパノラマ映像を見る方がいいでしょう。もう一つの理由は、アナモフィックで撮られた映像は、独自の「ルック」を持ち、撮影監督の好む特殊な映像効果を生むからです。

JF:ARRI/ZEISSマスターアナモフィックはもう出荷されていますか?

WS:弊社ではIBC(2013)前に最初の10セットを出荷し、その後も継続して出荷しています。このレンズは製造工程が非常に難しいので、製造時間が短縮されるまでに少し時間が掛かります。残念ながらレンズが届くまでにお待ち頂くお客様もおられますが、その甲斐は十分あるレンズであるとお約束できます。出荷予定については、7本セットは予定通りです。35、40、50、60、75、100、135mmT1.9は予定通り仕上がっており、更に追加の焦点距離も計画しています。
これまでと同様、お客様の(レンズ開発に関する)ご意見は大歓迎です。